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【連載・黒髪と美の歴史】どうして黒髪女性に魅かれるのか#11

【連載・黒髪と美の歴史】どうして黒髪女性に魅かれるのか 第十一回

【連載・黒髪と美の歴史】どうして黒髪女性に魅かれるのか#10

「色の白いは七難隠す」ということわざがあります。
意味は、「肌の色が白ければ、少しくらいの欠点は隠れて美しく見える」です。ことわざではありますが、心理学的にも解明されている事実です。

肌の色が白くて美しいは「ハロー効果」?

心理学には「ハロー効果」という言葉があります。「ハロー効果」とは、「ある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象」のことです。イケメンだとか、美人だとか、スポーツが得意だとか、高級な腕時計をしているとか。なにか飛びぬけて優れたことが一つあると、ほかの部分までよく見えてしまいます。それを「ハロー効果」とよんでいます。

「肌の色が白ければ、少しくらいの欠点は隠れて美しく見える」というのは、肌の白さという飛びぬけて優れたことが、そのほかの欠点を隠してしまう、まさに「ハロー効果」なんです。

「髪の長きは七難隠す」は髪の美しさが大事だったからこそできたことわざ

ところで、「色の白いは七難隠す」は有名ですが、よく似たことわざに「髪の長きは七難隠す」というのがあります。「女性の長い髪は、他の多くの欠点を隠す」という意味です。これは、なによりも髪の美しさが大事だったからこそ生まれたことわざです。とはいえ、美しい黒髪を手に入れるのは至難の業でした。そのため、ときには神頼みさえおこなわれていました。

美しい髪を手に入れるための「神頼み」

平安時代中期に成立した『うつほ物語』に、「七月七日になりぬ。加茂川に、御髪洗ましに、大宮よりはじめたてまつりて、小君たちまで出たまへり」という文章が登場します。
場面は、京都。
髪を洗いに加茂川(=賀茂川・鴨川)まで、でかけていきます。
注目すべきは、7月7日です。そう、7月7日は七夕ですよね。七夕は本来、乞巧奠(きこうでん)がおこなわれていました。乞巧奠とは、女性が手芸や裁縫などの上達を祈った儀式です。
もとは中国の行事で、奈良時代に宮中の節会としてとり入れられたといわれています。これが日本にもともと存在した棚機で機織りをする女性の伝説や祓えの行事と結びつき、民間にも普及して現在の七夕行事となっていきます。
女性に必須の技芸の上達を願う7月7日に、髪を加茂川で洗うことによって、長く豊かで美しい髪を得られると考えられていたんです。ただ、乞巧奠に加茂川に髪を洗いにでかけたのは、女性だけではなく、男性も一緒でした。七夕の牽牛と織姫の物語にあわせて、公家たち男女の出会いの場として、この御髪洗が位置づけられていたのかもしれません。

4月、5月、9月、10月は髪を洗わない

反対に、4月、5月、9月、10月は髪を洗うことを忌み嫌っていたといわれています。これは、陰陽が関係しています。陰陽は、中国の陰陽・五行説をもとに日本で成立した呪術と占いの体系です。陰陽を司るひとを陰陽師といいますが、有名な陰陽師には安倍晴明がいます。髪を洗うこと一つが、物事の禁忌と関係し、自由にはできなかったんです。

黒髪と美の歴史連載一覧

平松隆円(ひらまつりゅうえん)

大学教員 / 化粧心理学者 / コラムニスト

1980年、滋賀県生まれ。2008年、世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。国際日本文化研究センター、京都大学、タイ国立チュラロンコーン大学などを経て、現在は東亜大学准教授、芸術学部トータルビューティ学科長。 専門は、化粧心理学や化粧文化論。主な著書に『化粧にみる日本文化 だれのためによそおうのか』(水曜社)、『邪推するよそおい 化粧心理学者の極私的考察』(繊研新聞社)などがある。

<この連載は著書「黒髪と美の歴史」よりSANKEI HairCare Postにあわせ寄稿していただいております。>

黒髪と美の歴史-平松隆円-角川ソフィア文庫2019/7/24

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